若佐慎一展「YAOYOROZU NO KAMISAMA」

June 7, 2025

6月23日〜7月20日の期間、代々木上原Fireking cafeにて個展「YAOYOROZU NO KAMISAMA」を開催します。

世闇に輝き続けるラッキー　65.2×65.2cm　2025年制作

▼展示概要

タイトル | 若佐慎一展　YAOYOROZU NO KAMISAMA

会期 | 2025.6.23(mon) ‒ 7.20(sun)

時間 | 11:30 am - 2:00am

会場 | Fireking cafe

〒151-0064 東京都渋谷区上原1-30-8

GoogleMaps: https://maps.app.goo.gl/h5cxEyerz3nWanNY9

▼ステートメント

私たちの身のまわりには、見えないものが満ちています。風、気配、祈り、恐れ、願い──。古来、日本人は自然や事物の中に無数の“神”を見出し、それらに名をつけずとも敬い、ともに生きてきました。本展「YAOYOROZU NO KAMISAMA」では、そうした日本的アニミズムの精神性を土台に、現代における“かたちのないもの”へのまなざしを改めて呼び起こしたいと考えました。

私はこれまで、招き猫というアイコンを繰り返し描いてきました。そこには、日本文化の中に根づく“願い”や“加護”への感情、そしてそれを見つめる私自身の心象風景が折り重なっていました。描き続けるうちに、招き猫は他者の願いを引き受ける媒介であると同時に、私自身の自画像のような存在へと変化していきました。今回の新作では、その招き猫を中心に据えながら、さらに視野を広げ、八百万の神々が宿る世界観へと拡張しています。

展示には、獅子、狛犬、熊といった、日本的な霊獣や野性の象徴たちも登場します。彼らは“キャラクター”のような佇まいで画面に現れますが、その本質は目に見えないもの──人間が自然の中で感じてきた畏れや愛情、祈りの具現化です。私は、あえてそれらをポップで明るく、前向きなビジュアルで描くことで、現代における“新しい畏怖のかたち”として提示したいと考えました。

ファイヤーキングカフェという空間で展示を行うことにも、大きな意味があると感じています。カフェという日常の場にも、畏怖すべき存在がひっそりと、しかし確かに佇んでいる──そうした気配に、観る人がふと立ち止まり、静かに想像を巡らせる時間が生まれることを願っています。

人は、名づけることで世界を理解し、見えないものにかたちを与えてきました。けれど本来、畏怖すべきものとは、名づけえぬ存在そのものに対する想像の営みであり、感性の働きにほかなりません。本展が、そうした見えないものへのまなざしを再考し、現代における“畏れとともに生きる知性”を呼び起こす契機となれば幸いです。